その考え方、犬育てを窮屈にしてない?手放したい3つの考え

更新日:9月30日
みなさんこんにちは、大阪市福島区にある犬の幼稚園、oluoludogschoolの工藤です。
これは私がトレーナーとして実際に手放してきた考えや、あまたのご家庭を見てきて思ったことを軸に、「犬育てがもっと豊かになったらいいな」と願う気持ちの一片をご紹介します。
1:「おりこうさん」に育てようという気持ち

新卒の時に勤めていた前職の幼稚園では、「おりこうさんに育てるぞ!」という気持ちでトレーナーをやっていたと思います。
マッテができる、おすわり・ふせ・ごろんなどの色んな姿勢が弁別できる、どこを触っても受け入れられる、引っ張らずに歩ける、吠えない、噛まない、ハウスで休める…etc
当時勤めていた会社が「いつまでに、何をできるようにする」というのを明確に決めていたこともあり、私は自然と「おりこうさんに育てる!」そう考えていました。
そしてできるようになった愛犬を見て、飼い主さんが喜んでいる。私はこれこそがドッグトレーナーになった意味だと息巻いていました。
でも、そこを退職して、一度犬業界を離れて、戻ってきて、今このoluoludogschoolで犬と触れ合っているとき、ある日気づいたんです。
「あれ、そういえば私ってあんまりおりこうさんに育てようって思わなくなったな」と。
もちろん、おりこうさんに育てようと思うこと自体は悪いことではありません。
それが犬との暮らしを豊かにすることもあります。豊かになってきたお家もみてきました。犬とのコミュニケーションの幅が広がるという点においてもいいこともたくさんあります。
でも、かえって目が曇るようになるということは大いにあると思います。
失敗が許せなくなる悪魔の言葉になりうる
「おりこうさん」の定義がはっきりすればするほど、それから外れたときにその犬はおりこうさんではなくなってしまいます。
そうなると何が起こるかというと、できなかったことを減点していってしまうのです。
つまり、○○ができないうちの子はダメな子!という視点になってしまうわけです。
これは、当時新米トレーナーだった私に実際に起こった現象です。
期限までにおすわりができていない・吠えが止まらないなど、そういったことがあるとチーフトレーナーに叱られていたので、私がというよりは会社全体にそういう空気があったと思います。
できないことがいけないこと、吠えることがいけないことだと刷り込まれた私は、できないことや苦手探しばかりしていたと思います。
これは飼い主さんにも同じことが起きていて、たとえば、おもちゃや音や人の誘惑があってもマッテができるかな? というテストのときは、できていた犬の飼い主はニコニコでしたが、できない犬の飼い主は声を荒げたり、明らかに落胆したり、恥ずかしがったりする人もいました。
これは理想がキッチリしている飼い主様ほど陥る現象だと思います。
減点方式は時に人の目を曇らせ、「なぜできないのか」の理由を考える余白すら失ってしまいます。
そして、できたゴールのことばかりが目に入ってしまい、それに至るための小さな成長が見えづらくなってしまうのです。
目的を「豊かさ」「楽しみ」など、プラスのほうへ
たとえばお散歩を例に一つあげてみましょう。
とあるワンちゃんは、お家の中では隣に並んで歩くことも、オスワリマッテで何秒でも離れられる。なんでもできるけど、お外では通行人に吠えてしまって全然できない。
減点方式だと、「できない」「吠えた」という結果だけが全てのように見えてしまい、「うちの子外では全然だめなんです~」で終わってしまいます。時には減点ばかりするお散歩がしんどくなってしまうことも。
では、「犬が楽しめるお散歩をする」ことを目標にしたならどうでしょうか。
「人に吠えてしまうのはなぜか」「不安な気持ちがあるか」「外にいるときのそもそも興奮状態はどうか」などの検証をしたうえで、”じゃあ人がいない静かなところでは楽しめる? 人がいても喜んで食べられるものはなにかあるかな? 何メートル人が離れていれば落ち着いていられる? 得意で楽しんでできるトリックは何かあるかな。”とできることや楽しめることを探していきます。
もっと言えば、そのワンちゃんが不安を抱えているなら、無理に人通りが多いところを歩くのではなく、人通りが少ない時間や道を選んであげるという選択肢も生まれてくるでしょう。
繰り返しになってしまいますが、「おりこうさんに育てたい」という気持ち自体は全然悪いことではありません。
でも、それは犬を減点するためのものではなく、愛犬に対して「なんてすばらしいんだ!」を伝える誉め言葉の一つであるべきだと私は考えます。
もしあなたが、ついつい愛犬を減点方式でみてしまったり、できないことばかり目についてイライラしてしまったり、そんな自分を責めてしまうような気持ちになるならば、まずは「おりこうさんに育てる」という考えを手放して、「犬と自分の楽しみを増やして豊かにするにはどうしたらいいか」ということにスポットライトを当ててみてください。
2:犬をコントロールするという考え方
「おりこうさん」で記述した”減点方式”が、ここでも採用されています。
犬をコントロールとは、
・困った行動をやめさせる
・いつでもどこでもどんな状態でも犬が人の指示をきけるようにする
といった考え方です。
この考えも決して間違いではなく、むしろ愛犬が人間社会で生活していく上では必要なことです。
しかし、この「コントロールする」にとらわれすぎてしまうとどうなるか。
犬が自分の思い通りにならなかったときや、コントロールできない、と感じたときに強いストレスを感じてしまいます。
吠えるたびにやめさせようと、「NO!だめ!」「オスワリマテ!」「静かにして!」とやめさせようとしてしまう。
オスワリやフセやマッテなどができないと、何度も「おすわり!おすわり!おすわりしなさい!」と繰り返す中でイライラしてきてしまう。
そんな飼い主さんたちを何度か見てきましたが、犬も人も疲弊しているケースがほとんどです。
叱るような言葉ばかり聞こえてきて、犬を褒める言葉がほとんどなかったり、投げやりになっていたりすることもあります。
ダメな行動を修正しようと思うと、ダメなところばかりが目についてしまい、人の犬も疲弊してしまいます。
「困った行動」困っているのは人か犬か
実は、飼い主が声をかけても止められないほどの「困った行動」は、犬自身が一番困っていることがほとんどです。
もしかしたらその困った行動を起こす理由は、犬が強く不安を感じているからかもしれない。
あるいは、困った行動をとったことで犬にとっていいことが起き続けていて、その行動が犬の情緒がおかしくなるほどに強化されているからかもしれない。
犬をコントロールできていない、という言葉一つで片づけてしまうと、悪いのはすべて犬になってしまいます。その結果、「犬を治す」ということだけに焦点があたるのです。
大体の場合、犬が困り果てて行動を起こしているときに変えなければならないのは犬ではなく、まわりを取り巻く環境や習慣です。
トレーニングの基本は「環境設定」からです。犬がその行動を起こさなくても済む環境設定はどうしたらいいのか。まずはそこから考えてみましょう。
3:「信頼関係」
ドッグトレーニングにおいて、歩けば棒にあたるくらいの頻度で遭遇するのがこの「信頼関係」という言葉です。
簡単に言えば、犬と意思疎通をとるためには信頼関係が必要であること、そして信頼関係を結べていれば困った行動は起こらないといった考え方です。
この言葉、言い方を変えると一昔前に流行っていた「主従関係」や「上下関係」を示唆する言葉と近いものを感じています。
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関係性とは?
上記記事でも触れていますが、関係性とはその人に対してどのような学習が行われていたかという結果によって左右するものです。
たとえば、楽しい・いいことばかりが起きていた人とは、進んでコミュニケーションをとってくれやすくなります。
対して、嫌な思いをした場合は、その人に対して不安を覚えたり、嫌なことを回避するための行動がでやすくなります。
そういった学習履歴によって積み重ねるものを「関係性」といいます。
関係性は確かにトレーニングにおいてとても重要なことと言えます。
私たちトレーナーは、犬とはじめて会う時にその印象が悪いものにならないように注意しなければなりません。
関係性によって犬がどうにかなるわけではなく、犬と一緒に積み重ねてきたことが関係性に影響するのです。
良い関係性を築くこと自体はとっても素敵なことですが、順番が逆にならないように気を付けなければなりませんね。
信頼関係を結べていれば困った行動は起こらないのか
結論、そんなことはありません。
たまに家族がリードを持つと吠えるのに、トレーナーさんがリードを持つと全く吠えないといった動画を見かけることがあります。
これは犬が望まない行動をとった時にトレーナーがリードを引く……つまり、吠えると犬にとって嫌なことが起こり、吠えるという行動が弱化しているケースがほとんどです。
つまり、信頼関係によるものではなく、犬が行動を起こしたときに人が起こした行動によって、犬の行動を強化・弱化させたという学習によるものと推察されます。
もちろんひとくちに、すべてのケースがそうであるとは限りません。
家族がリードを持っているときに「吠えて望みがかなった」という学習が多ければ同じ結果になります。
その学習による行動の差が、信頼関係に見えているだけです。
ただしく環境設定を行って学習を積み重ねることがトレーニングであり、その結果として犬と人の関係性が左右されることはあっても、関係性からはじまるものではありません。
単純に、犬との信頼関係がないと言われたらどう思う?
信頼関係が結べていれば犬は困った行動をとらない。
じゃあ、困った行動をとるということは犬は自分のことを信頼していないということ。
もしそういわれたら、皆さんはどう思いますか?
私が飼い主なら単純に、ショックを受けると思います。
そして、犬が困った行動をとるたびに「これは信頼関係がないからだ!」と小さなストレスを受け続けることでしょう。
そうなると、犬が起こしている行動の本当の目的が見えなくなり、困った行動が起きるたびにナーバスになる……という悪循環に陥ることがあります。
そして、「信頼関係がない」という理由はすべてがそこに終結してしまい、犬の行動がもっている望みや機能を無視してしまうことがあります。
お互いが幸せなら甘やかしたっていい
「あまやかしすぎちゃうのはよくないですよね」と、たまに言われることがあります。
これをしてると犬になめられるとか、こういうことをしているから犬がいうことを聞かないとか。
犬が「やりたくない」といったときにそのままにするとやらなくてもいいと思ってしまう、とか。
私も以前まではそれにたいして「よくないです」と言っていました。
でも、甘やかした結果、犬も人も幸せなら別に甘やかしてもいいと思うのです。
甘やかしの結果、
・食べムラがひどく全然たべられるものがない
・分離不安になる
・興奮状態や攻撃性を引き出してしまう
・肥満など健康状態を害してしまう
などの場合は、犬にとってもストレスがかかってしまうので改善するべきだと思いますが、そうでないなら無理に改善する必要はありません。
だから私は、「○○ってあんまりよくないですよね」と言われたら、「困ってますか?」と聞きます。
困っていないなら別に無理に改善する必要はありません。
生活するのは愛犬とあなたですから、当人たちが幸せを決めてよいのです。
まとめ
いかがでしたか?今回は私の実体験をベースに犬と接する上で「手放した考え」をご紹介しました。
どの考え方も、決して間違いではなく、むしろそれが良い方向に作用することもたくさんありますし、側面を変えると必要であることばかりです。
私はどちらかというとネガティブなタイプで「しなければならない」という考えに固執する性質があるため、今回紹介したような考えを持っている間は葛藤することも多く、苦しいと感じたこともあります。
もし、これを読んでいるあなたが「自分もそうかもしれない!」と思ったなら、ぜひ少しでもその考えを手放して、日常を振り返ってみましょう。
ドッグトレーニングはあくまで「犬との暮らしを豊かにする」ためのものであり、決して犬と人の生活を縛るものではありません。
そうはいっても、本気でしつけについて困っているときは無意識にナーバスになってしまうこともあるものです。その気持ちが痛いほどわかります。
そんなときは一度私たちトレーナーにご相談ください。
トレーナーは犬と人の生活を豊かにするためのヒントをたくさん持っています。
ひとりで頑張らずに、プロの手を頼ってみてくださいね。




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