陽性強化ってなに?
ー強制ではなく共生をー
本当の意味での共生を叶えるのが、陽性強化です。
01
陽性強化トレーニングとは?
陽性強化とは「トリーツ(おやつやフード)を使って行うトレーニング」と思われがちですが、
本質は動物行動学に基づいたトレーニング方法のことを指します。
嫌悪刺激(犬がいやだと思う刺激)をつかわず、快刺激(犬が嬉しいと思う刺激)を用いて心や行動を変化させていきます。
陽性強化
快刺激
オヤツやゴハン
オモチャ
望む行動を快刺激で強化する方法。
対して、望まない行動は強化しないか、予防して行動を起こさせない。
強制トレーニング
嫌悪刺激(不快刺激)
ビリビリ首輪
チェーンカラー
望まない行動を嫌悪刺激を使って修正していく方法。
※あくまで極端な違いであり、昨今ではどちらも併用して使っているトレーナーさんもいます。
02
行動原理
陽性強化と強制トレーニングの違いについて、
オペラント条件付けと呼ばれる行動原理で説明します。
オペラント条件付け
正の強化
快刺激を得ることで行動を強化(増加)する
きっかけ⇒行動⇒強化子⇒強化
例1)オスワリをしたらオヤツがもらえたので、オスワリする回数が増えた
例2)家族が食事しているときに足元で吠えたらゴハンを貰えたので、足元で吠える回数が増えた
正の弱化
不快刺激を得ることで行動を弱化(減少)する
きっかけ⇒行動⇒弱化子⇒弱化
例1)吠えたら首輪がビリビリしたので、吠える回数が減った
例2)引っ張るとチェーンカラーを強く惹かれるので、引っ張る回数が減った
負の強化
不快刺激を取り去ることで行動を強化する
きっかけ⇒行動⇒強化子⇒強化
例1)お散歩中に犬に遭遇して吠えたら、犬がいなくなったので、吠える回数が増えた
例2)足を触られた時に噛んであばれたら、やめてくれたので噛む回数が増えた
負の弱化
快刺激を取り去ることで行動を弱化する
きっかけ⇒行動⇒弱化子⇒弱化
行動⇒何も起こらない⇒弱化
例1)遊んでいるときに甘噛みしたら飼い主が部屋から出て行ったので、甘噛みの頻度が減った
例2)ハウスから出してほしくて吠えていたが吠えている間はずっと無視されるので吠えなくなった
陽性強化トレーニングでは主に「正の強化」で人間が望む行動を褒めて伸ばし、
対して望まない行動は「負の弱化」を使っていきます。
03
私たちが重要視すること
陽性強化の大きな特徴は、自発行動を促して
犬の選択を尊重するトレーニング手法であることです。
お互いの幸せを
吠えちゃだめ。噛んじゃだめ。引っ張っちゃだめ。
いわゆる「問題行動」と呼ばれることは、犬にとっては当たり前の行動です。
犬は吠えます、噛みます、そもそもリードをつけて人と一緒に歩きません。
それらは人間と暮らす上で、人間の都合にあわせて犬たちに譲ってもらうことであって、強要することではないと考えています。
だから吠えたり、噛んだり、引っ張ったり…
それらの行動の代わりの選択肢を用意してあげるのが本当の共生です。
犬たちの、こうしたいという気持ちと、人間たちのこうしたいという気持ちが折り合いがつくところを探すこと大切です。
ストレスを最小限に
犬たちにとって都会での生活は思ったよりも刺激やストレスがたくさんあります。
人、犬、音、もの、ニオイ、新しい環境、触られること…etc
それらに対する不安や緊張・ストレスから、人間が困る行動をとってしまうことがあります。
知らない人や犬に吠えないで!噛まずにお手入れ受け入れて!とするまえに、まずは彼らの感じる不安を緩和することが大切です。
フラットな気持ちに
好きすぎて興奮したり、嫌いすぎてパニックになったり…
この感情のジェットコースター状態が激しいほど、ワンちゃんの心には強い負担がかかります。
冷静さを失うと、どんなに一生懸命トレーニングをしても学習することができません。
人間がそれらをコントロールするのではなく、ワンちゃん自身でコントロールする力を身に着けてもらうこと。
好きでも嫌いでも、動揺せずにフラットな気持ちで受け止めたり、受け流せたりするように教えていきます。