こんにちは!大阪市福島区の犬の幼稚園、oluolu dog schoolの工藤です。
みなさんは、ハズバンダリートレーニングというのを聞いたことがありますか?
今回は、ハズバンダリートレーニングとは何かをお話していきます!
ハズバンダリートレーニングとは?
ハズバンダリートレーニングとは簡単に言うと、お手入れ・トリミング(グルーミング)・投薬などを、落ち着いて受け入れられるように教えていくトレーニングのことを指します。
コーポレイティブケアとも呼ばれています。
元々は、動物園や水族館などで体の大きな動物の健康チェックやお手入れをする際に用いられていたのが主流です。
イルカのハズバンダリートレーニングが代表的です。
おとなのイルカは大きいと650キロちかくあり、お手入れや健康チェックをするときに体を拘束したり、抑えたりすることはできません。
だからイルカには、トレーナーの合図で岸にあがって自らお腹を向けてくれるように教えていきます。
では、ワンちゃんはどうでしょうか?
大型犬を除いて、基本的には「保定」という技術を使い、暴れたときに噛まれないように、安全に施術ができるように体を支えて行います。
トリミングサロンの施術台や診察代は高い位置にあることが多く、その緊張も相まって多くのワンちゃんは「苦手な気持ち」を抱えたまま診察やトリミングを行っています。
つまり、獣医さん・看護師さん・トリマーさんは犬に極力負担がないよう、保定を行って素早く施術を行っているから出来ているだけで、犬が本当に受け入れているか、ストレスがないかどうかは別なのです。
ハズバンダリーは犬の苦手意識を緩和するためのトレーニングです。
ハズバンダリートレーニングは等しくどの犬も取り組むべき
日々のお手入れはもちろんのこと、病院やサロンで犬の苦痛がすくなくお手入れや治療ができるようになること。
これは、どんなワンちゃんであっても等しく飼い主様が取り組むべきことだと考えています。
よくあるのが「自分(飼い主)ではできないけどトリマーさん・獣医さんのところではできている」という場合。
飼い主がお手入れして嫌がるのであれば、サロンや病院で行っても「嫌」という気持ちがなくなっているわけではありません。
プロのトリマーや獣医・看護師は噛まれたり暴れたりしないよう保定して施術を行っており、スピーディーに行うことで犬があきらめざるをえないだけかもしれません。
そして、愛犬と暮らすにあたって、ワンちゃんの健康を守ることは飼い主様の義務の一つでもあります。
日々のブラッシング・健康チェック・歯磨きなどは、大きな疾病の予防になります。
投薬、点耳、点眼、おむつのつけ外し、目ヤニ取りなど飼い主様ご自身で日々取り組まなければならない投薬やケアもあります。
若くて健康なうちはさほど大きな問題がないかもしれません。
でも、老犬になったときのことを想像してみてください。
老犬は思ったよりも病院のお世話になります。
体力が落ちてくると、トリミングの負担もかかります。
そんなとき、お手入れや体を触られることが大嫌いなワンちゃんだったらどうでしょうか。
介護のたびに、病院やサロンにいくたびに強いストレスを感じていたら、大きな負担をかけてしまいます。
ハズバンダリートレーニングははっきり言って、即効性のあるトレーニングではありません。
でもその日々の積み重ねが、犬の生涯を豊かにすると考えてみてください。
取り組まない理由はないと思うのです。
ハズバンダリートレーニングの基本
①系統的脱感作法
系統的脱感作法とは、わかりやすくいうと「受け入れられる範囲から徐々に慣らしていく」ということです。
また、「系統的」というのは、苦手なことに関連している(犬にとって)事象に対しても段階を踏んで慣らしていくことを指します。
具体的に言うと、「ブラッシング」の練習をするとなった場合、
1.手で体のあちこちを触る
2.ブラシそのものに印象をつくる
3.体を支えたり、手や足を持ち上げる
4.体にブラシが触れる
5.毛を梳かす
という段階に分けるイメージです。
ブラッシングが苦手だからといって、ひたすら毛を梳かすことを練習しても嫌な気持ちが強すぎると成立しません。
関連している触られること、持ち上げられること、道具そのものに慣らす必要があります。
②受け入れる準備ができたよの合図を教える
例えば、
・歯を磨くときは台の上や手の上に顎をのせてもらう。
・爪を切る時は足を手にのせてもらう。
・ブラッシングをするときはマットにのってもらう。
など、犬側に行動を教えて「準備OK」のサインを出してもらうことで、人⇒犬の一方的な関係を、「コミュニケーション」にかえていくトレーニングです。
③人間が「ハズバンダリーの心」を手に入れる
③は完全に持論です。
ワンちゃんは人の感情に敏感な生き物です。
「お手入れしなきゃ!」
「この毛玉とりたい!」
「なんでいやいやするの!?」
というせっかちな気持ちが、犬の嫌だなという気持ちを助長しているケースは大変良く見受けられます。
もっというと、そういった気持ちが産む人間の行動が、犬に負担をかけているケースがあります。
そもそも、あらゆる動物は自分でセルフケアができるものです。お手入れが必要である体であることは、犬ではなく人間の都合によるものだと思っています。
体を人にあずける、少々痛いことを受け入れるというのは非常に勇気がいること。
なので、「受け入れてくれてありがとうね」の気持ちがとっても大切です。
「あなたを傷つけるつもりはないよ」
「あなたが出来る範囲で少しずつやろうね」
という凪のこころを人間が手に入れられれば、犬も自然と身を預けてくれるようになります。
ハズバンダリートレーニングの注意点
1.すでに強い攻撃行動が出ている場合はすみやかにトレーナーに相談する
お手入れをしようとすると激しく噛む場合は、無理に1人でやろうとせずトレーナーや行動治療を専門とする獣医師を頼りましょう。
2.トレーニングではなく治療が必要なケース
今まで何ともなかったのに、急に嫌がるようになった場合は体に何かしらの異常や痛みが生じているのかもしれません。
その場合、トレーニングではなく痛みや体の不快・不調を改善する治療が必要となるため、獣医師にご相談ください。
3.ハズバンダリートレーニングを行ったからといって、すべてのお手入れが好きになるわけではない
ハズバンダリートレーニングは、犬の心を無視しないという人間からの約束が前提です。
約束を破る人がいたときや、痛みを伴ったとき、約束を破らざるを得ないシチュエーションになったときにも変わらずいつでも受け入れられるとは限りません。
人間に体調や機嫌の良しあしがあるように、犬にもあります。
受け入れられなかったときに目くじらを立てたり、「せっかくトレーニングしたのに無駄だった」と悲観的になるのではなく、”そういうこともあるよね””約束破っちゃったからもう一度1からやってみよう”と犬の心に寄り添える人間の心持ちが重要です。
まとめ
いかがでしたか?
ハズバンダリートレーニングは犬だけが身に着けることではなく、飼い主さんが身に着けるべきトレーニングでもあります。
犬の心を受け取り、汲み取り、無視しないマインドと、犬に負担をかけない・極力痛みや不快感を与えないお手入れの仕方などを学ぶことが必要です。
本校では、夏季・冬季限定でハズバンダリークラスというしつけ教室を開催しているほか、幼稚園や合宿などでもトレーニングを行っております。
ぜひ、みなさんもハズバンダリーの心を手に入れませんか?
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