
こんにちは、大阪市福島区の犬の幼稚園oluolu dog schoolの工藤です。
今回は「犬育ては人育て」というテーマで、犬と人の成長についてお話していきます。
ゆるぶろぐとは書いたもののあんまり緩くはないかもしれませんが、私たちが常々思うことのうちの一つをお話していきます。
人が育たないと犬も育たない

犬を育てたいのなら、人側も育たなければなりません。
育つというのは「犬と暮らす上で」という意味です。
当たり前ですが、犬は人間ではありません。
人間の生活に犬を迎えたなら、犬にばかり人間に合わせることを求めるのではなく、人間側も犬のことをよく知り、対話ができるようにならないといけません。
それが犬と暮らす上で人が育つということです。
「いいこ」「おりこうなわんちゃん」の基準

皆さんの思う「いいこなワンちゃん」ってどんな子ですか?
・吠えたり噛んだりしない
・他のお友達と仲良く遊べる
・カフェやホテルなどにお出かけしても、おとなしく休憩できる
・おすわり・ふせ・まって・おいで・ついて歩くなどのコマンドが完璧にできる
・いろんな芸ができる
・正しい場所でおトイレができる
・お散歩で引っ張らずに見上げながら歩く
・暴れたり噛んだりせずにお手入れをさせてくれる
こんな風に思っている方も多いのではないでしょうか?
というのも、私が数年前そう思ってトレーナーをしていたからです。
でも、今はこう思うのです。この「おりこう像」って、全部人間の都合だよな、と。
犬が人間と暮らすために、人間が求めていることにすぎないな、と。
私が思う「いいこなワンちゃん」はこうです。
・興奮しても自分でコントロールできる
・自分で休憩できる、眠くなったら自分で寝に帰る
・嫌なことや苦手なことがあっても、取り乱さずに自分で距離を取れる
・ご飯を美味しくうれしく、よく食べる
・いつでも頭がクリアで、フラットな気持ちでいられる
端的に言うと、「メンタルが安定していること」です。
これらが土台にあって初めて、お散歩で引っ張らずに歩くとか、おすわりやふせ、芸ができるとか、人や犬に吠えないとか…そういった結果が生まれると思っています。
人間のメンタル形成に幼少期の家族との過ごし方が大きく影響しているように、犬たちもこの「土台」はある程度環境設定して教えていくことで成り立ちます。
犬育てとは

忠犬ハチ公、盲導犬クイール、南極物語のタロとジロ…昔からある名犬たちの物語の影響か、
「犬は人に従順で忠実」
「素直で感情表現豊か」
「飼い主への愛情が深い」
という先入観があると思います。対して、自由気まま、気まぐれっていうのは猫の専売特許ですよね。
実際はそこまで従順でもなければ、一筋縄ではいかないこともあります(笑)
でも、人間とのコミュニケーション能力が高く、感受性が豊かという点ではその通りです。
犬たちは、順応性が高いからこそ教わったことや感じたことに素直に育っていきます。
それはプラスの意味だけではなく、人のいう問題行動としても現れていきます。
興奮を助長させて育てれば興奮しやすいワンちゃんになりますし、
刺激に過敏な状態をそのままにしていれば過敏になっていきますし、
飼い主が犬に執着していると犬も飼い主に執着するようになります。
血統や生まれ持った性質ももちろんありますが、そこからどう育っていくかは人との暮らしにかかっているのです。
犬がひとりで育つということはありません。行動やメンタルの背景には、意図していなかったことも含めて生活環境や習慣が必ず裏付けられているのです。
また、感じたことに素直に…というところにもポイントがあります。
一生懸命苦手克服のために慣らしトレーニングをしても、感じていたことがネガティブだと、教えたつもりがかえってネガティブな気持ちを助長することがあります。
だから、「犬が勝手にいい子になる」ってことは、まずありません。
スクール、幼稚園、トレーナーだけの力でいい子になるわけじゃない

トレーナーに犬をお願いしたからと言って、犬がイイコになるわけではありません。
前述したとおり、犬は人や環境によって学んだことを吸収していきます。
また、人ごとにできる「関係性」を改めていく必要があります。
ここがうまくいかないと、スクールではイイコなのにお家では全然変わらないということが起こるのです。
トレーナーが行うのは、あくまで犬に対して選択肢をつくってあげることです。
たとえば、トレーナーが「オイデ」を教えたとします。
犬の中には「オイデと呼ばれたら呼んだ人のところにいく」という選択肢ができるわけです。
まったくまっさらな状態でやるよりは、飼い主さんと呼ぶ係を交代しても選択肢がでてきやすくなります。
犬育てのためには考え方や習慣を変え、犬の心と向き合って正しく段階を踏む必要があります。
トレーナーが行うのは、犬の選択肢を増やすこと、そして習慣の替え方や、正しい段階設定について助言した上で一緒に取り組むことです。
スクールに預けたからと言って、犬が勝手にイイコになることはないのです。
犬同士の遊びや関係性はスクールでないと学べない

余談です。
犬が勝手にいいこになるわけではないと断言しましたが、「犬同士の関係性」においては、遊び方にしても、ドキドキせずにフラットでいられるようにしても、スクールでないとなかなか学ぶことができません。
ドッグランには多種多様なワンちゃんがいて、自分のワンちゃんに合わせた組み合わせができるわけではないので、運が悪いと犬嫌いになってしまうことがあります。
また、お散歩中のセッションはリードがついているうえに、どうしても短時間になってしまうため、こちらも相性が合わないとケンカに発展して犬嫌いになってしまうことがあります。
ちなみに犬友達の輪があってお家で遊ぶことができたり、オフ会などが行われるブリーダーさんのところで遊ぶ経験なども、スクールでの犬同士の遊びと同じ意味合いがあります。
時には人が譲ることも必要

私たちは時には飼い主にとって苦行であることを、犬の為にとお願いすることがあります。
たとえば、
興奮しやすいワンちゃんには、行ってきますやおかえりの挨拶はしない、興奮して飛びついているときは無視してください。とお伝えしたり…
眠りが浅くてメンタルが不安定なワンちゃんには、一緒に寝るのは禁止にしたり…
お散歩中の人や犬への吠えが激しいワンちゃんには、人気のない早朝の散歩をお願いしたり…
などなど。
犬のメンタルがそれによって不安定になっているときは、飼い主が犬を迎えたときに想像していた理想の暮らしを諦めてもらうことがあります。
でも冒頭に話したように、人が犬に対して思う「問題行動」は人の都合です。
人の都合で犬にばかり求めるのではなく、犬たちの気持ちを尊重すること、犬と人の関係は一方的なものではなく譲り合うものだと考えたらどうでしょうか。
結果を望む前に、”私が思う本当の「いいこ」”なメンタルを犬が手に入れられるように人が努力して初めて、人が望む結果(問題行動が起こらない)になるのです。
犬と円滑にコミュニケーションをとるには、知識やスキルが多少なりとも必要
犬の行動には様々な動機(理由や心理)があります。また、行動を出す前にもたくさんのサインを出してくれています。
彼らの出す様々なサインやボディーランゲージを読み取って細かにやりとりを重ねていくと、だんだん犬のいうことがわかるようになってきます。
また、わからないことがあっても、じゃあ次はこうしてみよう、という違うアプローチも生まれてきます。
また、何かを教えようと思ったときに、同じツールを使っていたとしても「伝わりやすさ」は多少なりともスキルが必要です。
トレーナーが予めかたちを教えておくことで1から教える手間を省くことはできますが、ある程度伝わりやすいツールの使い方を学ぶことでより犬との関係を深めることができます。
つまり、トレーナーと同じように犬との意思疎通がとれるようになるということです。
ドッグトレーニングを学ぶことで犬との対話を深められるので、これまで以上に愛犬との暮らしが豊かになることでしょう。
犬育ては人育て まとめ
いかがでしたか?
・人が困ったり、「問題行動」と言ったりすることは全て人の都合であること
・犬は繰り返し行われる習慣で学習していく
ということについて「犬育ては人育て」という観点でお話していきました。
oluolu dog schoolではメンタル育成に力を入れた陽性強化トレーニングを行っていますが、世の中には様々なトレーニング方法があります。
トリーツ(おやつ)を使う、リードやチョークチェーンを使う、褒め方、教え方…すべて三者三様です。
どんな手法や手段、トレーニング方法を用いていも、あくまでそれは人と犬をつなぐツールでしかありません。
ツールの先にいるのは犬であって、彼らの気持ちを受け取れるようにならないと何も成立しないのです。
Comentarios