top of page

犬の分離不安の原因と予防法

執筆者の写真: くどう まやかくどう まやか

犬 分離不安


こんにちは!大阪市福島区にある犬の幼稚園oluolu dog schoolの工藤です。


今回は分離不安の初期症状と予防法について解説していきます。

すでに分離不安を引き起こしている場合は改善の手順が複雑なため、今回の記事では触れていません。予めご留意ください。


「うちの子は大丈夫だと思うけど、一応当てはまっていないか見てみよう!」という気持ちでご覧ください。


分離不安とは?


犬 分離不安 しつけ

分離不安とは飼い主と離れることに強い不安を感じ、それが問題行動となって現れることを指します。

分離不安の症状は主に次の6つです。

・留守中、家の中やハウスの中のものを壊す、またはおトイレを失敗する

・留守中、手足をなめる・噛むなどの自傷行為をする

・飼い主と離れるとずっと吠え続ける

・飼い主と離れると息切れ・震え・よだれが出る

・家の中にいるとき、ずっとくっついてくる(トイレやお風呂のときものぞきに来る)

・ハウスの中にいる間ずっと吠え続ける


また、分離不安のワンちゃんの特徴として、いつ飼い主が離れていくのかいつも心配していることから眠りが浅い傾向があります。

人の動きや物音で過敏に目を覚まし、常に寝不足。寝不足な状態がより心を不安定にして、分離不安の行動を起こしやすくなります。


分離不安は一見すると「飼い主が大好き!」というふうに見えるので、ついついかわいいと思われがちですが、彼らは飼い主が離れるだけで身が引き裂かれるようなストレスを感じています。

執着と愛情は違います。愛犬の精神衛生的にも、しっかりケアしてあげましょう。


または、分離不安によって引きこされる行動にたいして飼い主さんがノイローゼになっているケースも見受けられます。

物を壊したり、トイレの粗相をしたり、近所迷惑なほど大声で吠えたり…

ノイローゼの結果、その行動に対して叱ったり、怒ったりするのも実は逆効果。

離れたときの不安と、怒られた時の恐怖が結びつき、より離れることに対して強い恐怖を覚えるようになってしまいます。


分離不安の原因


分離不安には様々な原因があります。

犬種や性質的に引き起こしやすいこともあるため、生活習慣を気を付けていてもなってしまうことがあります。

大半の場合は、一緒にいる時間と離れるときの落差が大きければ大きいほど、分離不安を引き起こしやすくなります。


留守番の時間がない

家族の誰かが常に家の中にいる場合や、一緒に他のワンちゃんと暮らしていてひとりぼっちになることが少ない場合、一人でいることに強い拒否反応を起こすことがあります。


一緒に寝る

愛犬と一緒に寝るのは犬を迎えるうえで一つの憧れです。

しかし、毎日一緒に寝ていて一人で寝ることがないと、同じように飼い主への執着もあがってしまいます。


おはよう・おやすみ・いってきます・ただいまの挨拶が激しい


分離不安 吠える

「おやすみー!また明日ね、ちゃんと寝てね」「いってきます!さみしがらないでね、行ってくるね」と過度に挨拶をすると、離れることへの不安をあおってしまいます。

また、おはようやただいまの挨拶の時に大興奮している状態で構うことが習慣になると、飼い主の外出と帰宅に興奮がセットになり、不安によって起こる行動に歯止めが利かなくなります。


また、特定の家族にのみに対して分離不安を起こす場合、一緒に外出した時にその対象の家族が離れただけで鳴いたり騒いだりすることがあります。

好かれている、かわいいと思って「どうしたの~!さみしいね!」と構ってしまうと、より執着心が高くなってしまいます。


ずっと構っている

家にいる間、ずっと声をかけたりなでたりしていると飼い主への執着があがることがあります。家族ですから、もちろんしちゃいけないわけではありません。しかし、目を離すとエンドレスで撫でてと要求してくるようになると、黄色信号です。


ハウストレーニングを行っていない


犬 ハウストレーニング

お家に迎えたばかりの時はある程度ハウストレーニングを行うと思いますが、トイレが出来るようになってから一緒に寝たり、ハウスに入る時間を極端に減らしてしまうと、心や行動が形成しきる前に分離不安を引き起こすことがあります。


イギリスなどのペット先進国ではフリーでワンちゃんと暮らすのが通常ですが、家の中やお庭など敷地が広く行動範囲も広いこと、十分な発散のための時間を用意できること、ドッグトレーナーをつけているかなどが前提としてあります。イギリスでは、犬と過ごせる時間や敷地面積が不十分の場合、犬を迎えることができません。また、犬を飼うのと同時にドッグトレーナーをつけるのが当たり前なのです。


日本の過密地域の住宅・マンションなどではどこにいても飼い主の動きが目についてしまうことや、発散のバリエーションなどが限られていることから、ハウストレーニングは「飼い主から離れる・一人で過ごすことも平気になる」という意味でマストです。


鳴いたら構ってくれるという学習の積み重ね


鳴いたり吠えたり、扉をガリガリしたりしたときに構ってもらえたという経験が多いと、飼い主に対して「戻ってきて!」という行動がエスカレートしていきます。

そうして熱心に「戻ってきて!」と行動しているうちに、心が不安になってきます。


怒って育てている


意外に思うかもしれませんが、体罰でしつけていたり、常日頃から悪いことを怒って教えている、そして犬がそれに対して恐怖を感じている場合分離不安を引き起こすことがあります。

怒っているつもりがなくても、スパイクチェーンやチョークチェーンなどでトレーニングを行っていて、そのリードショックの痛みに対して恐怖を感じている場合も同様です。


NOを強い恐怖で教えられた犬たちにとって、自分で考えて行動するというのは非常に難しく、一人の時間というのは「何をしたらいいかわからない、不安だ。何かをしたら怒られるかもしれない」と思う子もいます。

また、一人の時に粗相したり、何かを破壊した後、戻ってきた飼い主に叱られる経験は一人のときの時間と怒られた時の恐怖が結びつき、より分離不安を加速させてしまいます。

ハウスにいれていて、吠えたり鳴いたりしたからといって犬をしかりつけるのも同じことが言えます。

鳴いたから怒られたという学習ではなく、一人ぼっちになった・ハウスに入ったら怒られるかもしれない!という恐怖で不安定になるのです。


生活環境が変わった

新しい家族が増えたり、引っ越しをしたり、生活環境が変わると分離不安を引き起こすことがあります。

しっかり慣れる期間を設けてあげましょう。


発散不足

心と身体が発散不足だと、その持て余したエネルギーを飼い主に全てぶつけてしまうケースです。

クタクタになるまでしっかり発散させて、「ぐっすり寝たいから一人で寝るわ」という状況を作ってあげたほうがよいこともあります。

小型犬の場合、さほど運動が必要ないと思われがちで、"ずっとお家の中にいる、遊ぶとしても近所の散歩くらい。”となると、楽しみが少ないので自然と飼い主さんに依存してしまうのです。


  加齢や病気のため

年齢が高くなったり、病気になって体が不自由になると心細い気持ちから分離不安になることがあります。

こればかりはトレーニングや習慣でどうこうということはありません。


飼い主も分離不安

分離不安を引き起こしているワンちゃんの多くは、飼い主さんも分離不安です。

愛犬が愛しすぎて離れるのがつらい、離れたときにさみしがる愛犬がかわいそうという気持ちから、離れるときに飼い主さん自身も苦しんでいる状態です。

ワンちゃんは人の感情に過敏な生き物なので、それに感化されてより不安が助長されることがあります

そして、離れてから愛犬のもとに戻った飼い主が「さみしかったね~!」と盛り上げてしまうのも、飼い主側が愛犬と離れるのがつらいという気持ちから、無自覚に行っていることがあります。


分離不安の初期症状


犬しつけ相談

家の中にいる間、ずっと後ろをついてくる

人の動きをずっと観察していて、トイレやお風呂の間もじっと外で待っている場合、吠えや自傷行為、破壊行動がなくても強い不安を感じている兆候です。

また、常に膝の上に乗りたがったり、体をくっつけていたがるのも傾向の一つです。


ハウスに入ると鳴き続ける、ハウスに入るのを嫌がる

子犬の時期であればある程度この行動はみられますが、あきらめる前にハウスから出した経験が多かったり、正しい段階を踏まずに「閉じ込める」やり方でハウスを教えると、ハウスを嫌がるようになります。

単にハウスがいやなだけ、というケースもあるので、一概には言えませんが予備軍です。


飼い主にウレションする

これは一概にも分離不安とは言えませんが、帰宅した時や、どこかに預けていて迎えに行った時に嬉しさのあまり大興奮したり、興奮の結果ウレションしたりする場合は分離不安予備軍です。


外出しようとしたり、飼い主から離れようとすると鳴く

これも仔犬のうちはよくあることですが、鳴くということは離れることに不安は感じているので、しっかりと対策をする必要があります。

また飼い主が出て行ったドアをじっと座って見つめ続けるのも兆候の一つ。とっても可愛らしいしぐさですが、毎回どんな状況でも名残惜しくなっていると、だんだん辛くてさみしい気持ちに変わっていってしまいます。


分離不安の予防策


陽性強化トレーニング

分離不安の兆候は1歳未満から現れることがほとんどです。

しかし1歳を過ぎると、わんちゃんによっては反抗期・思春期のようにメンタルが不安定になることがあり、その時期から急に分離不安になるワンちゃんもいます。

前述したとおり、新しい家族が増えたり、引っ越しをしたことで急に引き起こすこともあります。


また、軽度の分離不安だと普段暮らしている分にはさほど支障がないことがあります。

たとえば、イタズラや粗相がなく、基本的にお家に誰かがいる場合、一緒に暮らす上では特に困らないでしょう。

どうしても家を空けなければならなくなったとき、ホテルなどに預けなければならなくなったときに分離不安の症状が出てしまうこともあります。


何歳を過ぎたら絶対に安心!ということはありませんが、少なくとも2歳くらいまでは予防策を習慣にしましょう。

2歳を超えてから兆候が見え始めたら、予防策を繰り返し行ってあげてください。



一緒に寝ない

でも紹介しましたが、少なくとも一歳~一歳半までは一緒に寝ないことをおすすめします。

絶対に一緒に寝てはいけない、というわけではなく、そもそも一人でも眠れるようにしましょうというお話ですので、ある程度改善してきて一緒に寝始めても、時々はハウスで寝かせてあげてくださいね。


ベタベタしすぎない

愛犬が愛しくて愛しくて常に構ってしまう、見てしまう、話しかけてしまいたくなる気持ちはよーくわかります。

ですが、そうしているうちに飼い主さんも愛犬もお互い依存・執着してしまうのです。

何もしない時間も、ワンちゃんにとっては貴重なのです。


ひとり遊びを教える

ノーズワークや知育玩具など、ワンちゃんが一人で楽しく遊べる娯楽を用意してあげましょう。

なるべく人間が介入しなくても成立するものがよいです。


ハウストレーニングをする

フリーで暮らすのがダメというわけではなく、分離不安の兆候がある場合はフリーはおすすめしません。

ひとりでいるのも悪くないな、一人の方がよく眠れるな、ということに気付けることが大切です。

フリーだと常に飼い主の動きを監視しようと思えばできるので、あえて見せない、物理的に距離を置く手段があるとよいでしょう。

特に1歳半までの間に「あきらめること」も教えておかないと、あとからハウスを教えるのは根気がいります。


閉じ込めるだけだともちろんいやという気持ちは消えないので、知育玩具などを活用してハウス自体を大好きにしてあげましょう。


おはよう・おやすみ・いってきます・ただいまの挨拶はしない

原因にあげたとおり、この挨拶が激しいと飼い主と離れることと興奮することがセットになってしまいます。

ワンちゃんと暮らす醍醐味を奪うようですが、少なくとも2歳までは我慢。

2歳をすぎても、しずかに挨拶するようにしましょう。


充分な発散と、深い睡眠のサイクルをつける

エネルギーが余っていたり、暇を持て余しているとどうしても他のことにエネルギーが向いてしまいます。

また、寝不足はストレス値を底上げする要因です。

発散と睡眠のバランスをしっかりとってあげましょう。


若いうちになるべく他所に預ける

毎日一緒に寝ていて、ほぼ家に誰かいる、といったホテルの経験がないワンちゃんが、1歳を過ぎてから初めてお泊りにきたときの精神的負担は計り知れません。

どんなに好待遇のドッグホテルでも、強いストレスを感じてお腹を壊してしまいます。

また、4歳・5歳くらいから初めて来たケースだと、ずっとハウスで鳴き続けたり、扉をひっかいて手を壊してしまうということも。

ホテル側から出禁になるケースもある上に、帰ってからワンちゃんのメンタルが不安定になり、これまでになかった問題行動を起こすことがあります。

まだそういった行動形成やメンタル形成が成長過程のうちに、他所にお泊りに行く経験をさせてあげましょう。


まとめ


いかがでしたか?今回は、分離不安の原因と予防策について解説していきました。

分離不安は軽度なうちであれば、短期間で改善することができます。


短期間と言っても、分離不安は全て小さな出来事の積み重ねによって引き起こされるため、改善するためには同じように習慣をのものを変えていく必要がありますし、よくなったからといってすぐに元の習慣には戻さないようにしましょう。


そしてこんな話をすると、たいていの場合飼い主さん側の方が、わが子への愛情表現を規制することに難色を示します。

しかし、分離不安になってしまうと飼い主が離れるだけで身を引き裂かれるような強いストレスと恐怖を感じるようになってしまうのです。

愛犬の心の健康を願って、根気よく接してあげてくださいね。


飼い主としてはさみしいかもしれませんが、いなくなったらなったで平気。

ひとりの時間も必要、くらいの方がながく犬生を見通したときにお互いストレスなく暮らすことができます。


ちなみに、oluoluの看板犬のどんぐりは1歳まではまったく分離不安の要素がなく、「留守番も全然OK、撫でられるのもそんなに望んでない。」くらいのワンコだったのですが、1歳の思春期を迎えたころ、お店の引っ越しなども相まって積もり積もってママと離れるのが恋しくなり、お留守番が苦手になりました。

仔犬の時期はまったく予兆がないように見えても、中には思春期を超えてから急に頭角を現すワンちゃんもいますので、なるべく初期症状を見逃さないようにしてあげましょう。


最初に述べた通り、既に分離不安を発症している場合はこの予防策をむやみに試してしまうと悪化することがありますので、まずは一度当店へご相談くださいませ。

また、oluoluでは他所のホテルで断られたワンちゃんのお預かりも行っております。

コメント


コメント機能がオフになっています。
bottom of page