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愛犬が本気で噛む!理由と対処法

  • 執筆者の写真: くどう まやか
    くどう まやか
  • 6月6日
  • 読了時間: 10分

こんにちは、大阪市福島区にある犬の幼稚園、oluolu dog schoolの工藤です。


・本気で噛むのだが、どうしたらいいかわらかない

・噛みを治したい

・噛みを治すにあたり、ドッグスクールを探している


この記事は愛犬の"本気噛み”でお困りの方に向けて、考えらえる理由とその対処法についてご紹介します。


本気噛みは治る?


まず、誤解を恐れずに結論を申し上げますと、「噛む」というのを完治させることはできません。

というのも、人間側がワンちゃんが噛むシチュエーションを避けてあげる・環境設定をすることが前提にあるからです。

まったく同じ状況下でもまったく噛まないように、というのは教えることはできません。


本気で噛む、という行動は基本的に攻撃、つまり身を守ることを示します。

犬が危険や不安、怒りを示すために噛む、あるいは嫌なことから逃れるために噛む、ということはそこには強い拒絶反応があります。

いかなるトレーニングをもってしても、その「拒否」をゼロにもどすことはできないのです。

完治するというよりはお互いの妥協点をみつけていくようなイメージで取り組むことが重要だと考えます。


本気で噛む要因

1.体の痛みや不快感から噛む


体を触られる、抱き上げられることに怒るワンそちゃんの場合、真っ先に疑うのが健康であるかどうかです。

特に、今までは平気だったのに何かのきっかけで・あるいは突然噛むようになるケースの多くはこの体の不調が原因となっている可能性が高いです。


また、食べるものが合っていない、ごはんが少ないなどの理由で栄養失調が起こっている場合も同様に攻撃性が強くなることがあります。


対処法 医療の力を借りて、体の不調を取り除こう


この場合、トレーニングの領域ではなく治療が最優先です。

医療によって痛みや不調の原因を取り除く、または緩和する必要があります。

行動治療などを行っている動物病院が近くにある場合はまずはそちらに罹ってみましょう。


2.お手入れや首輪の着脱など、嫌なことに対して噛む

痛みや不調がない場合で体に触れると噛む場合、基本的には過去の履歴によって噛むようになります。


・幼少期の社会化不足

触れる・お手入れすることも社会化の一つです。

基本的には受け入れられるキャパシティを徐々に増やしていくトレーニングが必要ですが、ここの社会化が不十分によりお手入れをするたびに嫌な気持ちが積み重なり、結果的に噛むようになります。


・過去、噛んだら嫌なことから逃れられた経験

ワンちゃんの行動原理にオペラント条件付けというものがあります。

負の強化【お手入れをする⇒噛む⇒お手入れが中断される⇒噛むという行動が増える】という内容です。

この経験が、かたくなに噛む犬を育ててしまうことがあります。


対処法 ハズバンダリートレーニングを行う


ハズバンダリートレーニングとは、簡単に言うと「お手入れ練習」です。

本来は動物園の飼育動物や、イルカなど体の大きな動物たちの健康チェックや治療に際し、動物たちが自らお手入れに協力してくれるように教える受診動作訓練がもとになっています。


昨今ではトリミングサロンや動物病院などでもハズバンダリーを取り入れているところが増えてきました。

お手入れに関する「苦手」な気持ちを緩和して、「お手入れして良いよ」と「ありがとう」のコミュニケーションを育てるのがハズバンダリートレーニングです。


触られることやお手入れすることへの嫌悪感を徐々にやわらげていくことで、噛まずにお手入れができるように進めていきます。


3.過去のトラウマや履歴によって強く噛む

過去、強い不安や恐怖、痛みや不快感を伴うトラウマとなる履歴があると、強く拒否反応を示して噛むことがあります。

ちょっと唸って歯を当ててくる程度のものから、パニック状態になって噛みつくものまでパターンは様々です。


対処法 治療、またはハズバンダリートレーニング


あまりにも激しくパニックになる、我を忘れて噛むなどの場合は医療の力を借りた「行動治療」の対象になることがあります。

理性的にうなったり噛んだりするケースの場合はハズバンダリートレーニングで改善することもあります。


犬にとっても「噛んでしまった」ということは強いストレスがかかり、より強いトラウマ意識を根付かせてしまいます。

また、噛まれるかもしれないという人間側の緊張やストレスも犬に伝わりますので、お互いのセーフティーのために口輪を使用した方がよいことがあります。


4.ものやたべものを守って噛む

食べ物、おもちゃ、食器などものを守って噛むことをリソースガーディング(所有性による攻撃行動)といいます。

中には、ごみなどを拾い食いしたときにそれを口から出そうとすると起こって噛む…といったケースもあります。


対処法 環境設定


リソースガーディングそのものを完治させることはできません。

リソースとは犬にとって資源となるもの(水、たべもの)を外部から守るために起こる本能的な行動であるためです。


また、先天的な脳の特性でパニックになりやすい、突発的な攻撃性が現れやすい場合があります。この場合もトレーニングではなくお薬の力を借りたほうがよいことがあります。


5.先天性の性質によって噛む


過剰繁殖や近親交配、犬種の特性によっては先天的に突発的に噛む性質を持っている子がいます。

突然怒って噛みついたり、噛みついた時に興奮してしまい声も届かなくなってしまったり…。

犬種によってはそういった性質が出やすい犬種がいるとも言われています。


その場合は、1と同様に行動治療の領域となります。


噛む犬に対する基本知識

1.病院での健康診断を先に行う

体の痛みや不調がないかをしっかり検査します。

抱っこをしたり、特定の部分を触ろうとすると嫌がったりするなど「痛み」の確認だけではなく、血液検査などを通して体に異常がないか確認しましょう。


また、先天的な脳の特性を持っている場合や、犬自身がケガをする(舌を噛むなど)噛んだりするほど激しく興奮しながら噛む場合は、ドッグトレーナーよりもまず行動治療を行っている動物病院に相談してみるのがよいでしょう。


2.食事睡眠発散の生活習慣と深く関係がある

・栄養が偏っている、あるいは足りていない、肥満、食欲不振…などバランスが崩れている

・発散・運動が不十分であることから慢性的にストレス状態

・睡眠不足、あるいは睡眠の質が悪い

など、不摂生な状態だといわゆる「キレ」やすくなります。

一見噛むという行動とはなんの関係もないように思えますが、これらのバランスはそもそも脳が担っている「怒りの感情」「興奮」「強い感情のブレーキ」などの機能と大きな関係があります。


前述したとおり「噛む」というのは攻撃行動で、いわば犬にとって最終手段にも等しい行動です。

脳の機能が正常でなくなると、感情のコントロールができなくなったり、ブレーキが効かなくなったり、興奮しやすくなる・興奮状態になったときに落ち着くまでに時間がかかるのです。


また、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」は腸で90%つくられているため、第二の脳と呼ばれる腸が不調だと十分なセロトニンが作られなくなります。

更に腸が「炎症」している状態だと、気分や意欲、認知機能を低下させると言われています。

脳や腸を整えるためには適切な発散と深い睡眠、栄養が不可欠というわけです。


3.小さな「やめて」でやめてあげる

犬が噛むという行動をとる前に、多くの場合はかならず前兆があります。

動きが止まる、舌なめずりが増える、しっぽがさがるまたはゆっくり振る、後ずさる、唸るなどです。

この小さな「やめて」のサインを踏み越えてしまうことで、噛むという行動をとります。


小さな「やめて」でやめてあげることで、犬は「噛まなくてもやめてくれる」という学習をしてくれるようになります。

「犬がこの行動をとったらやめてあげる」という約束を人と犬の間で結ぶことによって、噛まずに小さなやめてを伝えてくれるようになります。


また、ワンちゃんの中には咄嗟に驚いてサインを出すことなく一回目から強く噛んでしまうこともあります。

そういう場合は予備動作がなくいきなり噛みつくこともありますが、これは犬に心の準備をしてもらうことである程度回避できます。

たとえば、急に抱き上げたり触ったりせずに「○○ちゃん、抱っこするよ~」と声をかけてから触る。


第三者が急に手を出すシチュエーションではなるべく事前に回避してあげる(ドッグカフェなら料理がくる前に床に下してリードを短く持っておく、黄色いリボンをつけてお散歩するなど)ことで、飼い主以外の外的要因に現れるびっくり噛みにも対処できます。


4.口輪やジェントルリードなどの犬具を使用する


「噛んでしまった」というのは犬にとってもショッキングである、というケースがあります。

また、「噛むかもしれない」という人間側の心配やストレスは直に犬に伝わり、かえって犬を過敏にさせてしまうことも少なくありません。


犬具を使用することで人間が安心して、思い切って犬と触れ合うことができる・散歩に連れていけるようにする。そして噛んでしまったという経験をつくらないことが大切です。


知っておいてほしい情報

「無力化」について


噛む犬をトレーニングで解決する方法の中には「無力化」があります。

犬が拒絶する事象を繰り返しても一切噛まないように教えるやりかたです。


たとえば、犬が怒らなくなるまで体を拘束し続けたり、スパイクチェーンなど痛みがある犬具を用いて噛むという行動を弱化させるなどです。

こうした無力化トレーニングは、結果的に犬が噛むほど拒絶していた事象を受け入れることになりますが、動物福祉の観点から考えるとおすすめできません。

客観的に字面だけみたときに「抵抗をやめるまで押さえつける・痛みを与える」というのは良い方法ではありませんよね。



噛むということは犬の心も疲弊する


ここでお話しするのは主観が強い持論です。


犬が本気で噛みつくのは攻撃行動の一つだと前述しました。

人間に例えてみると、嫌だやめてと武器や凶器を振り回すのと同じ状態だと考えてみましょう。武器を振り回している人自身も追い詰められた気持ちになったり、心身ともに強いストレスがかかると思いませんか?


また、本来であればその攻撃・怒りに対して脳がブレーキをかけるのが正常ですが、日常的に追い詰められたような気持ちで攻撃をしている場合、からだや脳のブレーキの機能が損なわれている可能性があります。


SNSなどで、「噛んで嫌なことから逃れられた、という学習をさせない」「噛んで得をしたという学習をさせない」という趣旨で行われるトレーニングを見かけることがあります。

果たして一概にそうと言えるのだろうか、と思うのです。

もちろん、噛んで嫌なことから逃れられたという経験は噛むことを強化しますが、歯をむき出しにして噛みつくという行動を犬が望んでとっているとは到底思えないのです。


そもそも、そこまで犬を追い詰めてしまった、犬は嫌だと伝えるために必死なのだと思うと、噛んでも意味がないことを伝えるのではなく、犬が安心安全だと思える気持ちを育むべきだと思うのです。

もちろん、すべての犬に対してセーフティなトレーニングができるとは限りません。

まったく触れない、食べ物をあげることもできない、リードもつけられない犬に対してはグローブをはめて距離を縮めるしか手段がないこともあります。

しかし、それはあくまで最終手段であってほしいと思っています。


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